不眠不休さではヘイハチのことは言えない、
お前もいい加減少しは寝ておけと、半ば強引に寝間へと押し込まれ、
確かに休むのも仕事のうちかと、衾を延べて横になり。
うとうとしかけた夜半のこと。
…え?
何の前触れもないままに、
不意に衾の裾がめくられたもんだから。
誰ぞがそこまで近づいてた気配へ
気づけなかった自分であったらしいことも含めて、
何事かとギョッとしたものの。
…ああ、なんだ。
ごそもそ、潜り込んできたのが誰なのかが判ったその途端、
要らぬ緊張を強いられたと怒るより、
何だか微笑ましい思いで胸のうちが満たされる。
どうしました? 炉辺でうたた寝してらしたのに。
カンベエ様と喧嘩でもしなすったか?
ああ、ハイハイ、もう訊きませんよ。
この通り、ごめんなさいです。
どっこもはみ出してやいませんね。
爪先とか背中とか。
ああほら、もっとお寄りなさいな。
肩が出てるじゃないですか。
掛けるものだけ も1枚、持って来ましょうか?
いくら細身でも二人じゃあ狭かろと、
頃合を見て掛けるもの、
誰かさんが持ってきてくださると判っているから。
それまでに何とか寝てくださいねと、
髪を下ろすとたちまち懐いてくる、金色の毛並みをした懐ろネコさんへ、
苦笑が止まらぬシチロージだったりするのである。
*何だかもうもう、私だけが楽しくてすいません。
拍手お礼はすっかりと、シチさんがお母さんの“79天国”と化してますね。
カンベエさまも、眼福だのと、喜んでます、はい。
誰も止める人がいないです。(苦笑)


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